整形外科
今のところ一般的な外傷(骨折、脱臼など)の患者さんが多く来院されます。
脊椎(肩こり、腰痛など)、関節疾患(変形性関節症、関節リウマチ、痛風など)、手・足の外科、骨粗しょう症、末梢神経障害(手足のしびれ)など慢性疾患にも対応できるようにしております。手術件数は年間約500例で、各種骨折、筋・腱の手術、人工関節、関節鏡(内視鏡)や顕微鏡視下の手術を行っています。
さらに機能障害を最小限にするため、急性期リハビリテーション施設との連携を強化しています。
スタッフ紹介
整形外科部長代理 (リハビリテーション科科長 兼務) |
辻本 由美子(つじもと ゆみこ) |
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資 格 | 日本整形外科学会認定整形外科専門医 |
農野 啓正(のうの ひろまさ) | |
整形外科外傷の初期治療:RICE処置についてのおはなし
骨折・捻挫・打撲といった外傷は整形外科医による診察・治療が必要となります。 しかし夜間やスポーツ時の外傷の場合、整形外科医が不在の時があり、応急処置が必要になってきます。 その応急処置とは、安静(Rest)・冷却(Ice)・圧迫(Compression)・挙上(Elevation)であり、これらの頭文字をとってRICE処置といいます。 RICE処置の意義は、急性期の炎症反応を抑制する、の一言に尽きます。急性期の炎症反応を抑制することにより、疼痛を軽減するのみならずその後の 修復を促進させ早期治癒につなげることが出来ます。 怪我などをした時に冷やしたり圧迫したりすることは経験的に誰しもがやっていることと思いますが、意外と間違った応急処置をしてしまっていることも 少なくありませんので、それぞれの項目について簡単に説明・補足したいと思います。
Rest(安静)
安静をとる事で患部への刺激を低下させ、さらなる損傷や外力を避けることにより炎症の沈静化を図ることを目的とします。 一般に副子固定などが用いられますが、包帯を巻く際は不適切な圧迫を加えず適度な力で必ず心臓より遠い方向から心臓に近い方向へ向かって巻くように注意しましょう。
Ice(冷却)
氷嚢もしくは保冷剤等で患部を冷却することで、内出血や腫脹の増大を防ぎ、炎症の沈静化を目的とします。冷却は一度行なえば良いというわけではなく、受傷直後の急性期では10〜15分冷却して、45〜50分休む、そしてまた冷却を、と繰り返し行います。そうすることで炎症を最小限に抑えることが出来ます。できるだけ 早期から冷却を開始しますが適用期間は24〜72時間であり、これを超えて漫然と冷却すると治癒機転を阻害する恐れがありますので注意が必要です。 凍傷を引き起こさないためにも冷却毎に必ず皮膚の状態を確認しておく事が大切です。また冷却の目的でコールドスプレーやシップを用いる人がいらっしゃいますが これは大きな誤解です。コールドスプレーやシップは表面のみの冷却効果しかなく、患部(深部)には冷却効果がありませんので注意が必要です。
Compression(圧迫)
弾性包帯などを用いて患部を圧迫することにより、拘縮や癒着の原因となる浮腫や出血を抑制することが目的です。前述の通り不適切な圧迫は 加えず心臓より遠い方向から心臓に近い方向へ向かって包帯を巻きましょう。
Elevation(挙上)
静脈の静水圧を下げ、血管から組織への体液の漏出を抑制し腫脹・浮腫を軽減させ、静脈還流を促進することが目的です。
RICE処置は、内出血や腫脹、疼痛を抑えるのに効果的であり、腫脹や疼痛が増悪するのを防ぐばかりでなく早期治癒につながります。『怪我をしてしまった際にはRICE処置』を覚えておいて頂けましたら幸甚に存じます。緊急な場面での冷静な対応を心がけてください。