消化器内科・内視鏡センター

内視鏡センターは1998年5月に設立され、2009年12月にリニューアルオープンしました。
現在は胃十二指腸潰瘍や食道胃静脈瘤等の消化管出血患者や、胆管炎や膵炎等の緊急ドレナージ治療を必要とする患者さんに対して、24時間365日迅速に対応しています。
内視鏡の洗浄、感染対策、プライバシーの確保は内視鏡学会ガイドラインに沿って実施しております。各種内視鏡機器も常備しており、必要に応じて拡大内視鏡や細径内視鏡等使用できる環境にあります。
当センターの内視鏡検査においては、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)ではのどの麻酔を、下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)では炭酸ガス送気装置を導入し、苦痛や体の負担の少ない検査に努めています。

 

スタッフ紹介

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副院長 岩田 恵典(いわた よしのり)
資 格 医学博士
日本内科学会認定内科医・指導医
日本消化器病学会消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医・指導医
日本消化管学会胃腸科専門医・指導医
日本胆道学会認定指導医
日本膵臓学会認定指導医
日本がん治療認定機構がん治療認定医
評議員 日本消化器病学会 評議員
日本消化器内視鏡学会 学術評議員
専門分野 消化器内科全般

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炎症性腸疾患(IBD)センター長 岡田 章良(おかだ あきよし)
資 格 日本内科学会認定内科医・指導医
日本消化器病学会消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医・指導医
日本消化管学会胃腸科専門医
日本医師会認定産業医
日本感染症学会認定ICD
日本ヘリコバクター学会H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医※
日本カプセル内視鏡学会専門医・指導医
身体障害者福祉法第15条指定医師(肝臓機能障害)
※一般社団法人日本ヘリコバクター学会Webサイトの「認定医一覧」ページからもリンクされております。
評議員 等 日本消化器病学会近畿支部 評議員
日本消化器内視鏡学会 学術評議員・近畿支部評議員
日本消化管学会 代議員
CCFJ(日本炎症性腸疾患協会)会員

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消化器内科科長

龍華 庸光(りゅうげ のぶみつ)
資 格 日本内科学会認定内科医
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
日本門脈圧亢進症学会技術認定取得医
日本臨床栄養代謝学会TNT研修修了

消化器内科科長

(内視鏡室長)

親泊 智英(おやどまり ともひで)
資 格 日本内科学会認定内科医
日本消化器病学会消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医

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消化器内科医長
(肝臓内科)
遠山 まどか(とおやま まどか)
資 格 医学博士
日本内科学会認定内科医
日本消化器病学会消化器病専門医
日本肝臓学会認定肝臓専門医
大阪府肝炎医療コーディネーター認定医
専門分野 肝疾患全般

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消化器内科医長 瀬川 哲也(せがわ てつや)
資 格 日本内科学会認定内科医
日本消化器病学会消化器病専門医

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  岸野 恭平(きしの きょうへい)
資 格 医学博士
日本内科学会認定内科医
日本消化器病学会消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
日本肝臓学会認定肝臓専門医
専門分野 消化器・肝・胆・膵疾患

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        霜野 良弘(しもの よしひろ)
資 格 医学博士
日本内科学会認定内科医
日本消化器病学会消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
日本肝臓学会認定肝臓専門医
専門分野 消化器一般

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        岡本 麻知子(おかもと まちこ)
資 格 日本内科学会認定内科医
日本消化器病学会消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医

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        松田 達也(まつだ たつや)

内視鏡センターの特色

24時間365日緊急内視鏡体制

当内視鏡センターでは、胃潰瘍・食道静脈瘤等の消化管出血に対する止血処置や食道異物除去術など、24時間365日緊急内視鏡体制をしいて対応しております。

清潔な内視鏡機器

当内視鏡センターでは、内視鏡処置具は1回ずつ使い捨てるディスポ製品を採用しています。
また、内視鏡カメラ機器は使用の度に高レベルな完全消毒を行っています。
内視鏡スコープを介しての感染を絶対起こさないよう万全を期しておりますので、安心して内視鏡検査を受けていただくことができます。

苦痛の少ない楽な内視鏡検査

「内視鏡検査はつらくて・・・」という話をよく聞きます。
当内視鏡センターでは検査の際、職員が声掛けを行い患者さんの不安感を取り除くよう配慮したり、鎮静剤等を使用するなどして、できる限り患者さんの苦痛を減らし楽に内視鏡検査を受けていただけるよう取り組んでいます。

鎮静下内視鏡検査

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)での苦痛を少しでもやわらげる方法として、鎮静下内視鏡検査を導入しております。通常の咽頭麻酔(のどの麻酔)の他に、点滴から鎮静剤を投与して、呼びかけると少し意識が残り、苦痛、痛みなどが感じられない程度の状態でおこなう検査です。全身麻酔ではありません。ただし、血圧が下がったり、呼吸が弱くなることがありますので、検査中と検査後も意識がはっきりするまではモニターしながらおこないます。検査が終了しても薬が効いているためしばらく休んでいただくためのリカバリールームも装備しています。

 

炭酸ガス送気装置

自然な状態では腸の中はしぼんだ状態のため、小さな病変を見つけることはできないので、下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)では、内視鏡を挿入する際に大腸を伸ばしたり、大腸の中を広げてみるために空気(または炭酸ガス)を入れますが、そのせいでお腹がはったり、痛くなることがあります。
「炭酸ガス送気装置」は空気の代わりに炭酸ガスを注入するものです。炭酸ガスは空気と比べ、腸管から血液へ吸収されやすく、呼吸により速やかに肺から体外に排泄されるので検査中の患者さんの膨満感からくる苦痛を緩和することが期待できます。

 

最新の内視鏡機器

当センターでは、胆・膵疾患には近畿地方に数台しかない胆管鏡や膵管鏡を揃え、癌や出血にはアルゴン・プラズマ凝固装置、肝臓癌にはラジオ波焼灼装置と最新の医療機器を導入しています。
また、ダブルバルーン小腸内視鏡を近畿で2番目に、さらに穿刺用超音波内視鏡や経鼻内視鏡、超音波内視鏡(EUS)やNBIシステム(Narrow Band Imagingシステム;狭帯域光観察)も導入しています。

NBI(Narrow Band Imaging)システム

tentoumusi04 ●光デジタルによる画像強調観察技術
現在、増えつづけている消化器がん。小さな病変を早期に発見、治療することの重要性が高まるなか、粘膜表面の色、構造をより自然に、より精細に観察するための内視鏡観察技術の開発が進められてきました。
「ハイビジョン技術」が内視鏡観察に導入されて以来、飛躍的に鮮明な画像が得られるようになりましたが、最近では、従来の光では観察しにくかった小さな病変をより観察しやすくするため、「光デジタルによる画像強調」を用いた観察技術の開発に取り組んでいます。

通常の内視鏡では、白色光を粘膜表面に照らすことにより、自然な色をモニタ上に再現しますが、「光デジタルによる画像強調」を用いた観察では、光の波長を制限することで、粘膜表層の毛細血管や、わずかな粘膜の肥厚、深部血管などを強調して映し出します。このような特殊な光を用いた新しい内視鏡観察技術が、「光デジタルによる画像強調観察技術」と呼ばれています。
<がんの増殖には、血管からの栄養補給を必要とするため、病変の近くの粘膜には、多くの血管が集まりやすくなると考えられています。そこで、粘膜内の血管な どをより鮮明に観察しやすくするために、血液中のヘモグロビンが吸収しやすい特殊な光を照らし画面に表示するのが、狭帯域光観察です。狭帯域光観察では、 毛細血管の集まりやそのパターンなどが鮮明に表示され、通常光による観察では見えにくかったがんなどの早期病変の観察において有用性が期待されています。またこれまでは、血管や粘膜の詳細な観察のためには色素による染色を行わなければならないこともありましたが、狭帯域光観察を行うことによって、患者さんの身体的な負担が軽減されることが期待されます。
その他、正常組織と病変組織における自家蛍光の強さを色の違いで表示する蛍光観察や、粘膜の深いところにある血管や血流情報を強調表示する赤外線観察などがあります。粘膜に含まれるコラーゲンなどは、青色光を照射すると緑色を発する特徴を持っており、自家蛍光と呼ばれています。

 

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内視鏡ビデオスコープシステム
「EVIS LUCERA SPECTRUM NBIシステム」
オリンパスメディカルシステムズ(株)
メディカルタウンより引用

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画像引用:オリンパス おなかの健康ドットコムより

 

超音波内視鏡(EUS)

当センターでは2014年2月より超音波内視鏡(EUS)を導入しました。
EUSは体表超音波と異なり、超音波を体内から発信し、腸管ガスの影響を受けず目的の臓器に近接することが可能です。
また、膵については死角になりやすい膵頭部・膵尾部が容易に観察できるといった利点があります。
対象疾患としては、消化管粘膜下腫瘍(SMT)や膵・胆道腫瘍、慢性膵炎、膵仮性嚢胞、リンパ節腫大などがあり、超音波内視鏡下穿刺吸引術(EUS-FNA)を用いた病理診断や閉塞性黄疸に対する胆道ドレナージ、腹腔内膿瘍のドレナージが可能です。

超音波内視鏡装置(コンベックス EUS)

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電子コンベックス

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主な疾患と治療法

消化管疾患

炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel disease)の治療

主に潰瘍性大腸炎、クローン病の総称でこれらの疾患は再燃と寛解を繰り返す慢性に経過する難治性炎症性腸疾患で根本治療がなく、患者さんの社会生活に大きな影響を与えます。関西におけるIBD診療のパイオニア的存在である当院名誉院長北野厚生先生指導の下、300人以上の患者さんが通院、入院加療されております。また当院は透析施設を常設しており、GCAP、LCAPなどのアフェレーシス治療も施行しております。最近注目されている生物学的製剤も化学療法チーム、薬剤部、感染症対策チームと連携をとり安全確実な投与に取り組んでいます。院外の大学病院等や高度医療機関、IBDを得意とする医療機関と連携し日常から大学病院IBD専門医師(兵庫医科大学炎症性腸疾患部門内科学教授 中村志郎先生)を非常勤で招聘検査処置にあたっていただいており必要に応じて転院、外科的治療をおこなっております。また、学術的にも各種研究会を主宰し交流を図っています。これにより 学生さんや就労されている年代のかたに多いIBD患者さんの就学、転勤等に伴う移動の際のスムースな病診連携による紹介や逆紹介に対応し、さらにお休みが取りやすい土曜日診察、検査、治療にも対応しています。疾患の特性上他院から移られる場合はなるべく紹介状持参いただきますようお願いします。

 

GCAP(顆粒球吸着療法)LCAP(白血球除去療法)

早期胃がん・胃腺腫・早期大腸がん・大腸ポリープの治療

当院では最新の内視鏡システムを導入し これらの疾患に対して積極的にESD(内視鏡的粘膜剥離術) 、EMR(内視鏡的粘膜切除術)ポリペクトミーを施行しています。また状況に応じて小さな大腸ポリープ対応として電気を通さないため安全性がより高いコールドポリペクトミーも施行しております。

 

内視鏡的粘膜切除術(EMR:Endoscopic mucosal resection)

生理食塩水をポリープの粘膜下に注入し盛り上げたあと、ワイアー(スネア)をかけて高周波電流(通電しながら)で焼き切る方法です。
また、当院では症例によってEMRでも後出血や消化管穿孔リスクが少ない手法として、電気を通さない(熱凝固しない)内視鏡的大腸ポリープ切除術コールドポリペクトミーを採用しています。

 

コールドポリペクトミー(cold snare polypectomy):

コールドポリペクトミーは大きさ10㎜未満の小さなポリープの切除に適しているとされています。文献上、コールドは電気による組織侵襲がないため深部の大きな血管を損傷するリスクが低く、出血の報告は極めて少なく、穿孔例はありません。このことからコールドは極めて安全性の高い手技と言えます。病変を切除した後は、粘膜欠損部分を水圧による圧迫止血を行います。

当センターでも2014年12月にWater Jetを簡単に使える最新の内視鏡と送水装置、検査後お腹のはりが早くなくなる炭酸ガス:CO2送気装置を導入し症例に応じて実施しています。

 

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:Endoscopic Submucosal Dissection)

早期がんに対して行われている内視鏡治療は、開腹手術に比べて入院日数が短期間ですみ、 また患者さんの負担も軽いため、従来の外科治療に代わる新しい治療法として注目されています。そのなかでも従来の内視鏡治療の方法では取りきれずに開腹手術をしなければならなかった範囲の広い早期がんを内視鏡下で安全に切除することができるのが内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)です。EMRでは切除が困難な部位やサイズの大きな腫瘍などに高周波メスを用いて除去します。

 

肝臓疾患

肝炎・肝硬変疾患(C型肝炎・B型肝炎)の治療

C型肝炎の治療に関しては、治療薬の飛躍的進歩に伴い、短期間の治療期間で安全に治療を完遂することが可能となっています。また、治療効果も劇的に上昇し、治療成績はほぼ95%に達し、C型肝炎は治る疾患になっています。
当院でも積極的に抗ウイルス治療を導入し、C型肝炎の排除をめざしています。
B型肝炎の治療に関しては、治療の対象となる患者さんの選択がまず大切となります。治療対象者にはインターフェロンの治療や、高ウイルス量で線維化進行例では核酸アナログの内服による加療を行なっています。

肝硬変・肝細胞癌の治療

肝硬変や肝細胞癌は基本的に自覚症状に乏しい疾患です。そのため定期的な血液検査や画像での評価が必要となってきます。肝硬変の合併症である腹水に関しても、基本は食事療法・内服薬ですが、コントロールが困難となった難治性腹水に関しては腹水濾過濃縮再静注法(CART)などを実施しています。
肝細胞癌に関しては、肝動脈化学塞栓療法やRFA(経皮的ラジオ波焼灼術)、PEIT(経皮的エタノール注入療法)、分子標的治療薬を組み合わせて治療を行っています。

胆・膵疾患

内視鏡的逆行性胆管膵管造影

(ERCP:Endoscopic retrograde cholangiopancreatography)

ERCPは、総胆管に内視鏡を挿入して造影剤を注入し、胆道系、膵管をレントゲン撮影する検査です。膵臓、胆道系疾患の診断には欠かすことができません。1回の検査で、内視鏡的所見、胆肝像、膵管増など各種の情報を得ることができ、また膵臓や胆道系に隣接したほかの臓器の病変も指摘できるという特徴があります。
またERCPの手技を応用して閉塞した管の中にステントを挿入し、詰まった管を流れるようにし、胆管の結石を取り出すような治療や処置を行うこともできます。

 

その他の疾患

ヘリコバクターピロリ感染症の治療

ヘリコバクターピロリ感染は胃潰瘍・十二指腸の大きな原因であり 胃癌のリスクも指摘されています。

  • 下記は保険診療でピロリ菌の検査や除菌治療が可能な疾患です。
  • 1.胃潰瘍 十二指腸潰瘍 
  • 2.早期胃がんに対する内視鏡的治療後胃
  • 3.胃MALTリンパ腫
  • 4.ヘリコバクター感染胃炎
  • 5.特発性血小板減少性紫斑病
  • 当院では下記のピロリ菌検査法が可能です。
  • 1.迅速ウレアーゼテスト
  • 2.組織鏡検法 
  • 3.尿素呼気テスト
  • 4.尿中抗体測定法
  • 5.血中抗体測定法 
  • 6.便中抗原測定法
  •  

患者さんの状況に応じた診断と除菌方法を実施いたします。
PPI(プロトンポンプ阻害剤)内服等状況により検査結果が偽陰性になる場合もあり対応できない時もあります。当科では自費診療となる3次除菌は施行しておりませんが、必要時は適切な医療機関をご紹介させていただきます。

 

消化器内科実績

2022年度

上部消化管の主な治療実績

単位:件

上部消化管内視鏡 2,930
上部消化管止血術 87
ESD 35
上部消化管拡張術 21
EVL・EIS 32
十二指腸ステント 10
イレウス管 27
胃瘻造設術 62
異物除去術 13

下部消化管の主な治療実績

単位:件

下部消化管内視鏡 1,710
下部消化管止血術 46
大腸ポリープ切除術 334
ESD 18
大腸ステント 13
S状結腸捻転整復術 16
イレウス管 3
異物除去術 1

膵・胆管系の主な治療実績

単位:件

ERCP 303
ダブルバルンERCP 7
EUS 67
EUS-FNA 14
Interventional EUS 4
胆道鏡 3
EHL 1

PTBD関連

単位:件

PTBD(PTCD・PTGBD) 29
PTAD 10

小腸の主な治療実績

単位:件

カプセル内視鏡 18
ダブルバルン内視鏡 2

消化器内科 研究業績

≫ 消化器内科研究業績はこちらをご参照ください。