脊椎センター

センターの概要

世界を代表する高齢化社会となった本邦では、高齢者を安全に合併症なく治療するさまざまな治療技術の開発応用が社会的要請となっています。当センターは本邦を代表する低侵襲脊椎治療施設として、世界最新の低侵襲脊椎疾患治療に力を入れている他、様々な難治性脊椎疾患に対する外科治療に取り組んでおります。2025年4月には世界最新鋭の術中CT(O-arm2)とナビゲーションシステム(StelthStation S8)を導入し(図1)、高精度で低侵襲な脊椎外科手術が可能となっています。小児から高齢者までの脊柱変形、脊椎靭帯骨化症、脊椎脊髄腫瘍、腰仙椎変性疾患、頚椎変形疾患等に特に力を入れて治療しています。

                                       (図1)

 

ごあいさつとスタッフ紹介

高齢者人口は益々増加しており、加齢に伴う腰椎や頚椎疾患に悩まれている患者さんが非常に多くなっています。当センターでは多くの患者さんにリスクの高い脊椎の治療を安全にかつ正確に、そして合併症を起こさずに受けていただくことを最も大切にしております。そのために世界最新鋭の手術設備や神経組織を監視する機器を積極的に使用するとともに、世界レベルの高い治療技術を常に維持する治療グループ作りに取り組んでおります。患者さん達が安心して治療を受けられ退院されることを心から願っております。

 

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センター長 小谷 善久(こたに よしひさ)
脊椎外科担当
資 格

日本脊椎脊髄病学会指導医

米国低侵襲脊椎外科学会(SMISS), International Director

SMISS Asia-Pacific Section、理事長

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副センター長 有賀 健太(ありが けんた)
資 格

日本整形外科学会脊椎脊髄病医

当院整形外科で取り扱う脊椎疾患

脊柱変形

 学校検診で指摘される小児から思春期の側弯症は専門医による早期診断が重要です。治療にはX線写真による経過観察、装具治療、手術治療が重症度によって選択されます。治療する機会を逸しないよう躊躇なく脊椎センターを受診するようにしてください。変性側弯症や後弯症は高齢化により増加しており、高度腰痛による立位歩行障害、下肢の疼痛やしびれ、運動障害などを伴います。日常生活に支障が出られている患者さんは早期に専門医のアドバイスを受けていただくことをお勧めします。

頚椎疾患

 頚椎症性脊髄症、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎後縦靭帯骨化症、頚椎症性神経根症、環軸椎不安定症、頚椎リウマチ病変いずれも頚椎の骨・軟骨・靭帯の変形等により、手足をコントロールしている神経が圧迫されて、手足のしびれ・運動障害(手が使いにくい~歩きにくいなど)・痛みが生じる疾患です。また頚椎後弯を伴う首下がり症などの頚椎変形も高齢化により増加しています。変形や手足の症状にお困りではっきりとした診断がついていない方は是非脊椎センターを受診してください。

腰椎疾患

 腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎変性すべり症、腰椎分離症~腰椎分離すべり症、腰椎骨折いずれも腰椎の骨・軟骨・靭帯の変形等により、下肢をコントロールしている神経が圧迫されて、足の痛み・しびれ・麻痺・歩行障害(歩くと痛みやしびれのために途中で休む必要が生じて長く歩けない間欠性跛行などが特徴的)が生じる疾患です。これらの足の症状にお困りではっきりとした診断がついていない方は是非脊椎センターを受診してください。腰の痛みが主症状であっても、病態によっては手術治療が必要な場合もあります。

胸椎疾患

 胸椎症性脊髄症、胸椎椎間板ヘルニア、胸椎後縦靭帯骨化症、胸椎黄色靭帯骨化症、神経症状を伴う胸椎骨折いずれも胸椎部分での骨・軟骨・靭帯の変形等により、下肢をコントロールしている神経が圧迫されて、下肢の痛みが出ることは少ないが足のしびれ・麻痺(力が入らない)・歩行障害(脱力により歩きにくい・不安定)が生じる疾患です。これらの足の症状にお困りではっきりとした診断がついていない方は是非脊椎センターを受診してください。

 

特色・方針

 頚椎から骨盤までの全脊椎脊髄の急性期外傷、変形、腫瘍、感染、変性疾患の保存治療と手術治療を行っています。

 脊柱変形に対しては、子供さんの脊柱側弯症に対する検診・治療(装具治療や手術)から成人の脊柱変形の治療を行っています。子供さんの側弯症には様々な種類があり、学校検診で指摘された場合には遅滞なく専門医の診断と適切な治療を受けることが重要です。成人脊柱変形は社会の高齢化と共に近年患者数が増加しており、多くの患者さんは耐え難い腰痛のため長く立っていられない(立位保持障害)、下肢の痛みやしびれ、バランス異常による易疲労感などを伴っています。当センターでは装具などによる保存治療や薬物治療、最先端の低侵襲脊椎手術手技(OLIF, XLIF, PPSなど)による矯正治療を行っています(図2、図3)。

(図2)

(図3)

 

 神経合併症の防止や手術侵襲と放射線被ばくの低減のため、当科では術中CT(O-arm2)と連動した最新の脊椎ナビゲーションや脊髄モニタリング装置を使用して安全安心な手術治療を行っています。

 脊椎靭帯骨化症は頚椎や胸椎に起きやすく、骨化巣が大きなものでは治療が非常に難しくなります。当センターでは治療が最も難しい巨大骨化による脊髄の障害を前方から骨化巣を掘削して治療する前方浮上術を術中CTを使用して高精度かつ安全に行えるようになりました。(図4、図5)

(図4)

(図5)

 

 脊椎は様々な全身のがんの転移先として頻度が高い部位ですが、放射線や化学治療のみでなく、積極的な腫瘍の摘出と脊柱再建を行うことで患者さんの QOL(生活の質)を保つことが可能です。摘出が困難な脊椎腫瘍に対しても、患者さんの歩行や座位が可能な状態を長く保つために、低侵襲経皮的安定化術(MISt)を行っています(図6)。

         (図6)

 患者さんの最も多い腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症や腰椎変性すべり症に対しては、最先端の低侵襲手術手技を応用した安全で皮切や出血量を最小限にした手術治療を行っています。腰椎の手術では背筋の傷害を最小限にすることが残存腰痛を低減するために最も重要であり、脊椎内視鏡による治療(図7)や低侵襲式前方固定(OLIF, XLIF)と皮膚からスクリューを挿入する経皮的内固定手技(PPS)を積極的に行っています(図8)。これにより今まで10㎝以上の切開が必要であった脊椎固定術が3-4㎝と極めて低侵襲となり、入院期間も7-10日と短縮されています。

(図7)

(図8)

 

 腰椎分離すべり症や椎間孔狭窄症に対する腰仙椎(L5/S1)固定術は以前より侵襲性が高く、低侵襲化が世界的に望まれていました。低侵襲腰仙椎前側方固定術(OLIF51)は腹部小切開で後腹膜的にL5/S1椎間板にアプローチし、椎間板切除と骨移植を行う、現在世界的に最も先進的かつ低侵襲的な術式です(図9)。センター長の小谷善久は2015年から本術式を本邦に導入し、すでに260例を越える本邦随一の症例経験を持っており、国際的なリーダーとして活躍しています。

                          (図9)

 その他、腰椎椎間板ヘルニアに対する手術によらない新規治療法である椎間板酵素注入療法(コンドリアーゼ注入療法)が2018年9月より保険収載となり、当センターでも採用しています。外来での短時間の局所麻酔下の注射手技で入院を必要としません。ただすべてのヘルニア患者さんには適応されませんので、来院の上担当医とご相談ください(図10)。

                          (図10)