褥瘡対策について

当院の褥瘡対策に関する基本的な考え方

当院は500床の療養型病院です。近年の高齢化の影響もあり、入院患者の褥瘡持込率が高くなってきています。(平成301月現在50.6%)原疾患のため長期入院例が多く、その上、外科的治療等を希望されないため、当院の褥瘡有病率は12.5%と高くなっています。

そこで平成14年より褥瘡予防の取り組みを開始。院内新規発生率の低下、また早期診断・早期治療の徹底、褥瘡治癒率の向上を目指し、日々取り組んでいます。

 

院内褥瘡対策に関する組織・活動

褥瘡対策委員会の紹介と取り組み

委員会の構成

病院長、認定褥瘡医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、リハビリ、事務職員で構成しています。活動内容は、褥瘡治療と予防、褥瘡回診、効果的なケアの検討、マニュアルの作成、職員教育です。

 

褥瘡回診は、認定褥瘡医師、看護師、栄養士、薬剤師、事務職員で毎週水・金曜日に行っています。近年の活動として、体圧分散に優れたマットレスや高機能電動マットの導入、新しい被覆材や薬剤の検討と導入、踵部の褥瘡治療とケアの見直しにより、褥瘡有病率も低下するなど各指標の改善を認めています。

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当院の褥瘡予防ケアの紹介

自力で寝返りできない患者さんには23時間毎に体位変換をしています。ベッドの背上げ、足上げは、まず股関節部位をベッドの可動起点に合わせ、足上げ後に背上げをし、ベッド面と身体がずれないようにします。骨突出や関節拘縮のある患者さんは、その部位が圧迫されないよう小さな体位保持用具などを使用します。効果的な徐圧体位、ポジショニングを理学療法士に助言も受けております。体位変換時、皮膚が寝衣やシーツと擦れないことが大切ですから、職員2名で行うようにしております。

寝たきりの患者さんも出来るだけ週2回入浴しています。病状等により入浴出来ない方は全身または部分清拭をしています。また、皮膚の状態に合わせ必要時、オリーブ油を塗布するなど皮膚の保清と保護に努めています。

 

当院の褥瘡対策チームはDESING-R®を用いて褥瘡経過を評価し、継時的に経過がわかるようにしています。また、車椅子やベッド上にて圧の評価を行う際には耐圧測定器の使用を行い、個々の患者さんにあわせたポジショニングを決めていきます。耐圧分散マットや各除圧クッションなど使用し、褥瘡患者さんごとに細かく変更し、適切な除圧が行える環境づくりにも取り組んでいます(図①)。また、携帯型皮膚水分計を用いて創の評価、状態に合わせた薬剤の使用を行っています(図②)。そのほかにも、褥瘡エコーを用いて、創の状況を深部から把握し、早期に治療、対策が行えるような取り組みも行っています(図③)。

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