口から食べる喜びを
摂食嚥下リハビリテーションについて
食べることは、生命の維持に必要なだけではなく、食べる楽しみ、食べることを通して行われるコミュニケーションなど、生活の質(QOL)の面でも、重要な意味を持っています。
摂食嚥下リハビリテーションの目的
安全で楽しい生活ができるように、栄養摂取の方法を確立することを目指します。
・3食、口から食べること
・代替手段で栄養管理をして、少しでも口から食べる楽しみを持つこと
・誤嚥性肺炎を予防して、良好な全身状態で生活すること
摂食・嚥下リハビリテーションの流れ
摂食・嚥下障害は、口や喉の働きだけではなく、身体機能、認知機能、栄養状態、生活背景など様々な要因が影響しています。
そのため、言語聴覚士だけでなく、多職種によるチームアプローチが重要です。
当院では、摂食・嚥下リハビリテーション開始時より、チームでの評価を行い、その方に合わせたリハビリテーションを実施しています。
評価を行い、問題点を把握し、それぞれの職種が専門的なアプローチを行います。
口や喉の運動をする、食べる、といったことだけでなく、持久力をつける、呼吸機能を向上する、楽に座れるようにする、口腔ケアをする、認知機能を向上する、すべてが摂食嚥下リハビリテーションにつながります。
言語聴覚士によるリハビリテーション
口腔内の状態を整えながら、口唇、舌、頬、喉の機能向上を図り、うまく飲み込みができるようにアプローチします。
口腔器官の運動や、呼吸・発声練習、発話練習、などの食べ物を使わない「間接訓練」や、少量の水分やゼリーを飲み込んだり、固いものを咀嚼・飲み込む練習など実際に食べ物を使う「直接訓練」、食事形態や姿勢を調整したり、食べ方の工夫などをする「環境調整」を行います。
唾液を飲み込む、食べ物を食べるといったことは、日常生活での活動やケアが重要です。
療法士の訓練だけでなく、病棟スタッフやご家族の協力が欠かせません。
患者さん、ご家族、みんなが摂食・嚥下リハビリテーションの一員です。
摂食・嚥下障害は、肺炎・窒息・低栄養・脱水などの命の危機に直面する問題です。
摂食・嚥下リハビリテーションでは、嚥下機能だけでなく、意識状態・全身状態・認知機能など総合的な評価のもと、訓練を行います。
そのため状態により経口摂取(口から食べること)が難しいと判断されることもあります。
安全な生活を築き、リハビリテーションを進めるためにも、代替栄養(経鼻経管栄養・胃ろうなど)を検討することも必要となります。