回復期リハビリテーション
集中的なリハビリテーションをチームで支援します
回復期とは、急性期治療を受け、病状が安定しはじめた発症・術後から1〜2ヶ月後の状態をいいます。この回復期に集中的なリハビリテーションを行うことは身体機能や日常生活動作(ADL)の改善に最も効果的です。この回復期の時期に集中的なリハビリテーションを行うことで、低下した能力を再び獲得し家庭や社会に帰るための病棟を回復期リハビリテーション病棟といいます。
回復期リハビリテーション病棟は、主に脳出血、脳梗塞、大腿骨骨折など(厚生労働大臣が定める特定の状態*)の患者さんを対象とします。ただし、ご状態によっては対象とならない場合があります。また実際の入院期間は、定められた範囲の中で、医師の判断のもとそれぞれの必要に応じて異なります。
厚生労働大臣が定める特定の状態
(2024年6月現在)
疾患 | 入院限度日数 | |
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1. | 脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント手術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症、腕神経叢損傷の発症もしくは手術後、義肢装着訓練 | 150日以内 |
高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頚髄損傷及び頭部外傷を含む多部位外傷 | 180日以内 | |
2. | 2肢以上の多発骨折、大腿骨、骨盤、脊椎、股関節または膝関節の骨折もしくは手術後 | 90日以内 |
3. | 外科手術又は肺炎等の治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後または発症後 | 90日以内 |
4. | 大腿骨、骨盤、脊椎、股関節又は膝関節の神経、筋又は靭帯損傷後 | 60日以内 |
5. | 股関節又は膝関節の置換術後 | 90日以内 |
入院中は、医師、看護師、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、管理栄養士、薬剤師、社会福祉士などがチームを組み、家(または生活施設)に帰ること、また地域や社会で生活やそれぞれの活動を行えるようになることを目指して、集中的にリハビリテーションを支援します。
リハビリテーションは、日曜日や祝日なども含め365日、個別療法(マンツーマン)で最大1日9単位(3時間)実施します(ただし、運動器疾患は最大1日6単位(2時間)となります。)。内容は、それぞれの心身の状態などに応じて、理学療法(PT)、作業療法(OT),言語聴覚療法(ST)を組み合わせた、個別のプログラムを行います。病棟では、患者さん・ご家族が安心してリハビリテーションを受けられるよう療養環境を提供します。そして患者さんの健康管理を行いながら、生活に必要な身の回りのことなど、自分で出来ることを増やしていくための援助を行います。24時間、生活そのものがリハビリテーションです。
患者さんの一日の過ごし方
回復期リハビリテーション病棟での一日の流れや過ごし方の例をご紹介します。
6:30 |
起床~朝の支度 歯磨き、トイレやおむつ交換などの朝の支度を行います。 出来るだけ、活動するときには服を着替えて、生活のリズムを作ります。 また、心身機能回復に合わせた環境設定や介助を行い、自分で出来ることを増やしていきます。
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8:00 |
朝食 心身機能や嚥下機能に合わせて、適切な食事の形態を設定しています。また、食べやすい食具や食べる場所も調整しています。 |
9:00 |
日中は、医師の回診や看護師によるケア、リハビリテーション、入浴や必要に応じて検査などを行います。それ以外の時間は、自由時間として過ごします。
医師の回診・看護師のケア 医師による体調のチェックや、体調に合わせた看護師によるケアを行います。
リハビリテーション 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による、一人一人に最適なリハビリを提供します。 |
12:00 |
昼食
食事 病状や嚥下機能、動作能力に合わせて、飲み込みや食べる動作の訓練をする方もいます。 |
13:00 |
午前中と同様に、医師の回診や看護師によるケア、リハビリテーション、入浴や必要に応じて検査などを行います。それ以外の時間は、自由時間として過ごします。
入浴 心身機能や能力に合わせて入浴します。リハビリテーションで入浴練習を行うこともあります。入浴日や入浴時間は病棟により異なります。
自主練習 リハビリテーション室や病棟で、自主練習や訓練課題をします。
余暇活動 デイルームで余暇活動をして、活動的に過ごします。 |
18:00 |
夕食~就寝の支度 食事のあとは、歯磨きをして就寝の準備をします。 また、日常生活動作の練習や活動量の確保など、必要に応じて夕食後にリハビリテーションを行うことがあります。 |
21:00 |
消灯 次の日に備えてゆっくりと休みます。 |
以上、回復期病棟での過ごし方の一例です。
リハビリの成果・実績
回復期リハビリテーション病棟における、在宅復帰率、平均在院日数、重症患者改善率や歩行・食事・排泄の回復についての実績はこちらをご参照ください。
回復期 家族教室のご紹介
回復期リハビリテーション病棟では、患者さんとご家族の退院支援の一環として「家族教室」を開催しています。教室を通して、気さくに情報交換や相談などができる環境づくりを目指しています。
教室は、患者さんが自宅に帰ってから生活する上で参考となるような内容を理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士・社会福祉士などが担当して行っています。
内容は家庭でできるリハビリテーション・エクササイズや健康管理方法、栄養指導など様々です。
お気軽にご参加ください。お待ちしています。