初期臨床研修医 研修内容
救急研修
臨床研修の経験目標として厚生労働省は「一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、基本的な診療能力を身に付けることのできるものでなければならない」とあります。救急外来では、救急専従医が内科系、外科系を問わず全ての患者さんの初期診療、診断及びトリアージを行っております。
診療科の細分化が進んだ現在では、これらを一括して経験するのは困難で、当院のようなER型救急センターでの研修が絶好の教育の場となりうると考えております。そういった意味では臨床研修の経験目標は3次救命センターよりもむしろ1次から2.5次までの患者さんを扱う当院の方が研修病院としては適切であると考えております。
さらに、救急専従医はICU管理も行っており、重症患者さんの呼吸、循環管理を習熟できる環境でもあります。このように初期診療から重症患者さんの集中治療まで救急で扱う患者さんをトータルに研修できる病院であると考えております。
また、平成23年1月より救急科専門医施設に指定されております。
循環器内科研修
初期研修では指導医のもと、一緒に患者さんを担当して診断・治療に当たります。当科では、狭心症・心筋梗塞症などの虚血性心疾患はもとより、弁膜症・心不全・心筋症・不整脈や大血管疾患、末梢血管疾患などバラエティに富んだ疾患を経験できます。
急性冠症候群(不安定狭心症・急性心筋梗塞症)では、救急外来から、緊急心臓カテーテル検査、冠動脈造影、冠血管インターベンション(ステント留置やバルン拡張術、血栓吸引術)と、その後の集中治療室でのケア、リハビリなど一連の流れを主治医とともに経験します。
心不全患者では、初期治療、診断、管理を研修します。また救急外来で日常遭遇する各種の不整脈の診療にも当たります。急性の大動脈疾患(解離や瘤)では迅速に診断し、必要に応じて院外の心臓血管外科と連携しています。 診療実績は年間心カテ数約300例、冠インターベンション約100例、心エコー検査数1000件のほか、ペースメーカー植え込み術や末梢動脈・透析シャントなどバルン・ステント拡張術も行っています。
呼吸器内科研修
- 当院は大病院ではありませんが、研修を受けるメリットは結構あると思います。
- 1.日常多く遭遇する病気、例えば「肺炎」、「気管支喘息」、「慢性閉塞性肺疾患」、「睡眠時無呼吸症候群」、「結核」、「非結核性抗酸菌症」、「気胸」、「肺癌」、「間質性肺炎」、「胸水貯留(膿胸や癌性胸膜炎)」など本当に数多く経験できます。
- 2.単に「見る」のではなく、外来受診の時点から一貫して「診る」ことができます。上級医師とともに、救急の現場から始まり、NPPV(非侵襲的人工呼吸)や挿管下人工呼吸の管理を含めた集中治療まで、患者さんの間近で経験できます。
- 3.スタッフとの距離が近いです。特に呼吸器疾患では、看護師をはじめとした医師以外の医療従事者との共同作業が必須なので、これも大きな利点です。当院では呼吸療法認定士が中心になって熱心に人工呼吸装着患者さんへのラウンドを行ったり、薬剤師や臨床検査技師が感染症診療への取り組みに加わったりしているので、上級医師との関係からだけでは得られない臨床経験を得ることも可能です。
- 4.呼吸器疾患の診療にとどまらず、当院では、RCT(Respiratory Care Team)、NST(Nutrition Support Team)やICT(Infection Control Team)などのチーム医療が熱心に進められているので、患者さんを一人の人間としてとらえた医療について考えることができると思います。
消化器内科(内視鏡センター)研修
目 標
一般内科診療の内、消化器内科領域の診療を通じて、必要な知識・診療技術、処置を学ぶ当科は日本消化器病学会、日本内視鏡学会の研修認定施設です。
到達目標
研修方略
初期臨床研修のプログラムに組み込まれており、1年次他科との調整で2〜4ヵ月2年次に最大4ヵ月選択科目として研修できます。
オリエンテーション
研修開始時に、内視鏡検査機器等の説明や各種法規・院内規定について解説を受け理解する。
診 療
指導医・上級医の指導下で担当患者の診察を行い、検査・治療の計画を立てる。 上級医のもとで検査・処置を経験する。
研修評価
研修期間を通じて、知識・技能・態度について観察評価を行う。適宜のミーティング・カンファレンスを通じて行う。
週間スケジュール
AM | PM | |
---|---|---|
月 | (上部)内視鏡 大腸 EMR PEG 造設・交換 腹部エコー |
(大腸)内視鏡 ERCP カンファレンス |
火 | 部長回診 腹部エコー 大腸 EMR PEG 造設・交換 アンギオ(肝) 上部・大腸 ESD |
(大腸)内視鏡 ERCP |
水 | (上部)内視鏡 大腸 EMR PEG 造設・交換 |
(大腸)内視鏡 ERCP |
木 | 肝臓検査・処置 (上部)内視鏡 大腸 EMR PEG 交換 外来補助 |
(大腸)内視鏡 ERCP カンファレンス |
金 | 腹部エコー 上部・大腸 ESD PEG 交換 |
(大腸)内視鏡 ERCP |
土 | 腹部エコー (上部)内視鏡 |
麻酔科研修
当院麻酔科では、外科、整形外科、脳神経外科、泌尿器科、婦人科、耳鼻咽喉科、眼科の手術に対して麻酔管理を行っており、麻酔科管理症例は年間約1000症例に及びます。 全身麻酔においては、超短時間作用性のオピオイド鎮痛薬レミフェンタニルをほぼ全症例に使用することで術中の患者さんのストレス軽減に努め、麻酔からの速やかで爽やかな覚醒を目指しています。 また、外科・整形外科の症例では硬膜外麻酔を併用することで、術中の全身状態の安定化と、術後の鎮痛を図っています。今後は、硬膜外麻酔を併用できない患者さんの術後鎮痛方法として、超音波ガイド下神経ブロックやフェンタニルの持続静脈内投与などを検討しています。
気道確保に関しては、気管内挿管だけでなく積極的にラリンジアルマスクを用いて、術後の咽頭痛・嗄声の頻度を低下させています。 麻酔管理が術後経過にも大きく関与することからも、いかに安全に、また合併症や痛みのない麻酔を受けることが出来るかが重要だとされています。そのためには、術中のみならず、術前の患者さんの状態評価から術後の管理まで、麻酔科も積極的に関与できるチーム医療を目指しています。
当院における臨床研修医の麻酔研修期間は一ヶ月と短いのですが、この短い期間に全身状態管理を基本とした知識の整理と臨床的な手技の習得といった内容の濃い研修を行えるように工夫を凝らしていこうと考えています。
外科研修
外科では、たとえ高度先進医療は実施していなくても、胃癌、大腸癌、乳癌、胆石症、虫垂炎、ヘルニア、痔、急性腹症などの、日常よく遭遇する病気を、標準的な治療で、かつ合併症なく実施することができる外科医になってもらえる研修を保証します。
また、新臨床研修制度の下ではいわゆるブランド病院に研修医が偏在して、これらの有名病院では研修医過密状態にあり、反面過疎地の病院は医師不足に悩んでいます。
当院は東大阪という交通至便な都会に立地し、専門医取得に十分な症例を経験できます。超有名病院ではありませんので、研修医も少人数で丁寧な指導が受けられます。当たり前の手術を、当たり前に安全にできる地域の信頼を得る外科医を養成していきます。
脳神経外科研修(脳卒中センター)
医師としての心構え・態度を身に付けるとともに、脳神経外科疾患である脳血管障害、脳腫瘍、機能的疾患、頭部外傷、脊髄脊椎疾患、末梢神経疾患についての知識を習得し、診断、処置、治療の概要を把握することを目的とします。
当診療部では、主に、神経脱落症状(意識障害、四肢の麻痺、失語等)や外傷、痙攣発作を主訴に救急搬送されてくる患者の神経診察、画像所見をもとに、診断を確定し、初期治療を行い、続いて行われる専門的な管理、治療を行うといった一連の患者対応を学ぶことができます。また、検査(脳血管造影)、直達手術、血管内手術の見学、参加を通して、病態、治療に対する理解を深めていただきます。興味深い症例に関わった場合には、研究会、学術集会での発表、論文作成を行うことも推奨しています。
脳神経外科疾患の診療、特に脳血管障害の診察は、迅速な初期対応が必要なことも多い一方で、日々アップデートされている分野です。いずれの診療科に進むとしても、当診療部で得た知識、経験が役に立つと思いますので、ぜひ、積極的に診療に参加してください。
整形外科研修
当科は整形外科が扱う様々な分野に対応しております。
2018年7月から原口圭司先生を中心とした人工関節センターを東大阪ではじめて立ち上げ、毎週4件の人工関節の手術をこなしています。
2019年からは今田光一先生を迎えてスポーツ整形外科を始めました。様々なスポーツ選手が関節鏡による野球肘や肩、膝、手、足関節の手術を受けています。
脊椎は内視鏡を用いた低侵襲手術を導入しています。
外傷にも取り組んでおり陰圧閉鎖療法や皮弁による軟部組織再建もあります。手外科専門医もおりますので顕微鏡下の手術も行っており様々な症例に出会うことができますので整形外科の初期臨床研修にはもってこいの病院であると思います。もちろん執刀していただく機会もたくさんあり若手先生方のスキルアップには自信を持ってもらえる様に指導しています。
毎年3、4題以上の学会発表も行っておりプレゼンテーションの仕方も学べるので将来整形外科を目指す方々や色々な症例に出会いたいと考えていらっしゃる先生はどうぞお気軽にご相談ください。
小児科研修
当院では、協力医療機関の協力のもと指導医とともに小児科の病棟診療、外来診療、救急診療を実践する中で、研修目標を達成できるようにしています。輸液療法、薬物療法に関しても、患者の年齢、病態における特殊性を十分に理解することにより小児科医としてのセンスを身につけていただきたい。小児医療の基本は救急医療であることを再度確認し、理想的な小児救急医療を提供できるよう日々研鑚を積むことが我々小児科医に課せられた社会的責務であると言えるのではないでしょうか。
特に、小児は自らの症状を正確に訴えられず、軽症例と重症例との鑑別が難しく、症状の進行が早いと言われますが、その特性を実地臨床の場で経験することが重要です。初期臨床研修時に小児総合医療の一環として、乳幼児健診(神経学的発達評価)、予防接種、発熱や腹痛などいわゆるcommon diseaseの診療や、経験した症例のディスカッションを通して、プライマリケアの持つ重要性と魅力を伝えたいと考えております。