貼付剤について

2022年04月08日

貼付剤と聞いて、どのような薬剤を思い浮かべますか?多くの人は、痛みを和らげる“湿布”を挙げると思います。他に喘息や咳症状に対しての気管支拡張剤や狭心症で使用される貼付剤もありますが、近年、様々な疾患に対しての治療薬として貼付剤が開発・発売されるようになりました。

今回は貼付剤について紹介します。

 

 

【貼付剤の種類】

局所に作用する「局所作用型外用剤」と全身作用を目的とした「経皮吸収型製剤」があります。

 

局所作用型外用剤

 薬物が皮膚から組織中に移行することで貼った部位周辺に効果を発揮します。

 

(例)

薬剤名 治療疾患名

ロキソプロフェンナトリウムテープ

消炎鎮痛剤 等

 

経皮吸収型製剤

 薬物が皮膚組織の毛細血管に移行し、全身血流を循環することで効果を発揮します。近年、開発さ 

 れている貼付剤の多くは経皮吸収型製剤です。

 

(例)

薬剤名 治療疾患名
ビソプロロールテープ 高血圧症
リバスチグミンテープ アルツハイマー型認知症
ロチゴチンパッチ パーキンソン病

オキシブチニン塩酸塩テープ

過活動膀胱
エストラジオールテープ 閉経後骨粗鬆症 等
ニコチン貼付剤 禁煙補助

ジクロフェナクナトリウムテープ*

がん疼痛治療
*従来のジクロフェナクナトリウムテープは局所作用型外用剤ですが、昨年にがん疼痛治療を目的とした全身に作用する経皮吸収型製剤が開発・発売されました。

 

【全身作用型貼付剤の利点】

 

★効果発現が緩やか・効果を持続させる

 薬が皮膚から全身の血流に移行するまで時間が 

 かかるので、効果が緩やかに発現します。 安定

 した量の薬剤をゆっくり体内に移動させる為、 

 安定した効果が持続します。

 

★薬の管理が簡便

 高齢で多病になると薬の種類や量も増加する為、

 服用の苦痛や誤嚥リスクの増加、服薬介助者の負 

 担になります。その点、貼付剤は肌に貼るだけな

 ので誤嚥リスクが軽減し管理も簡便です。

 

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若草第一病院 薬剤部