脊椎脊髄神経外科

スタッフ紹介

脊椎脊髄神経外科部長 森脇 崇(もりわき たかし)
資格等 医学博士
脊椎脊髄外科専門医
日本脊髄外科学会認定脊髄外科認定医
日本再生医療学会認定再生医療認定医
日本脳神経外科学会認定日本脳神経外科学会専門医
OLIF 25(Oblique Lateral Interbody Fusion For L2 to L5; 低侵襲腰椎前側方椎体間固定術)実施医
BKP(経皮的椎体形成術)実施医
SCS(脊髄刺激療法)実施医
SNM(仙骨刺激療法)講習受講済
頸椎人工椎間板講習会受講済(Prestige LPTM)
専門分野 脊椎脊髄神経外科、脊椎脊髄損傷、脊髄刺激療法、胸腰椎移行部前側方進入手術手技法、臨床医事法学
受賞歴 2019 日本脊椎・脊髄神経手術手技学会Best Presentation賞(優秀賞)
「鋭的剥離による頸椎前方固定術アプローチ方法 Anterior Cervical Approach is based on reduced retraction stress and precise dissection of muscle layers」

脊椎脊髄神経外科の特色

  •  1. その痛みやしびれはどこから?

  •  2. まずは、保存的加療から

  •  3. 脊椎脊髄の病気の治療は難しい。だからこそ、脊椎脊髄専門医へ

  •  4. いろんなご意見もぜひ聞いてください

  •  5. 若草第一病院チームで取り組みます

1. その痛みやしびれはどこから?

腰痛、頸部痛、手足のしびれ・痛み、歩きにくい(少し歩くと足腰がだるくて歩けないなど)、手の細かい動きができなくなった、転倒してから背中、腰がすごく痛い などが対象となります。ほか、救急疾患(脊椎、脊髄損傷)も対象となります。あくまでも患者様、ご家族様といっしょにその悩み、苦しみを共に考えることからはじまり、そして、それらの改善、日常生活の維持を目的として、診断(何が原因なのか)、保存加療(理学療法との連携、地域医療連携)および、手術加療を専門的におこなう診療科です。

2. まずは、保存的加療から

十分な保存的加療でも症状の改善が得られない場合に、手術が選択肢のひとつとなります。また、手術後も中長期の視点から地域医療連携を通じて外来診療をおこないます。

3. 脊椎脊髄の病気の治療は難しい。だからこそ、脊椎脊髄専門医へ

脊椎脊髄神経外科分野の治療は、整形外科でもなく、脳神経外科でもなく、前者の診療科の専門医となった後にさらに修練を受けた脊椎脊髄神経の専門医がおこなう時代であると考えます。それは、運動器である脊椎の変形、骨折等が影響し、脊椎の中にある神経(脊髄神経)に対して、体の動きに伴った異常な刺激、圧迫等が加わり、さまざまな症状を呈する疾患が対象であり、その原因が複雑であるだけではなく、手術も大変高度な技術を要する分野だからです。

4. いろんなご意見もぜひ聞いてください

近隣の脊椎脊髄診療の病院へのセカンドオピニオンのご希望がありましたら、遠慮なくお伝えください。患者様、ご家族様は十分に考える時間がありますので、あわてずに納得されて診療を受けていただくことを我々も望んでおります。

5. 若草第一病院チームで取り組みます

若草第一病院のモットー「イザという時に頼りになり、よくある病気を当たり前のように治療し、思いやりのある優しい診療」を胸に日々の診療に取り組みます。

テーマ1;total neurospine

頭蓋頸椎から仙骨まで、全方位からの手術をおこなう脊椎脊髄疾患に加えて、しびれに対する末梢神経外科領域、および、failed back surgery syndrome等を対象とした機能的脳外科領域を取り入れた脊椎脊髄神経外科診療を実践いたします。

テーマ2;time is spine

日本脳神経外科学会専門医を取得後の2010年から岩月幸一泉北陣内病院総院長(元大阪大学医学部附属病院准教授)の指導のもと脊髄損傷の診療、研究に取り組んで参りました。脊髄にとって望ましい治療法を実践いたします。

診療部長 森脇崇の手術実績

頸椎後方手術症例

  2018年 2019年(~6月)
頸椎後方手術症例総数 28 8
頸椎椎弓形成術 14 5
頸椎後方固定術 7 1
頸椎後方除圧術 3 0
頸部脊髄腫瘍 0 0
その他 4(Halo Vest) 2(Halo Vest,コイル塞栓術)

頸椎前方手術症例

  2018年 2019年(~6月)
頸椎前方手術症例総数 28 12
ACDF
(anterior cervical discectomy and fusion)
10 5
ACCF
(anterior cervical corpectomy and fusion)
18 6
その他 0 1(歯突起骨折)

頸胸椎前方手術症例

  2018年 2019年(~6月)
頸胸椎前方手術症例総数 1 0
胸骨縦割式前方除圧術 1 0

頸胸椎後方手術症例

  2018年 2019年(~6月)
頸胸椎後方手術症例総数 7 0
後方除圧術 2 0
後方固定術 5 0

胸腰椎前方側方手術症例

  2018年 2019年(~6月)
胸腰椎前方側方手術症例総数 11 14
OLIF25
(Oblique Lateral Interbody Fusion For L2 to L5)
3 7
LIF to thoraco-lumbar junction 5 5
脊椎腫瘍 1 0
骨切り術 2 2
その他 0 0

胸腰椎後方手術症例

  2018年 2019年(~6月)
胸腰椎後方手術症例総数 71 71

椎間板ヘルニア摘出術

(顕微鏡下)

6 9
後方椎体間固定術(PLIF) 19 2
後側方固定術
(PPS 経皮的固定術含む)
16 22
椎弓切除術(顕微鏡下) 20 6
脊髄腫瘍 0 1
BKP
(経皮的椎体形成術(骨粗鬆性椎体骨折))
7 27
SCS(脊髄刺激療法) 0 2
その他 3 2

※(注)前方後方同時固定術、除圧固定術は、術式ごとに分類しています。

手術症例の紹介

頭蓋頸椎移行部;環軸椎亜脱臼 C1-2 除圧固定術

 

 

環椎破裂骨折 ;非観血的頸椎整復術、外固定術(Halo vest system)+O-C 固定術(後頭骨軸椎後方固定術、骨移植術)

 

 

 

 

 

歯突起骨折; Anderson type III

 

 

軸椎破裂骨折

術前頸部JOA score 6.5 / 術後JOA score 10.5/現在、歩行可能
Case; 78y,M,Hangman fracture(Levine-Edwards type IIA)
 1 C2/3 ACDF with pate fixation
 2 Halo Vest system fixation
 3 C2/3 pedicle screw cervical posterior fixation

 

 

 

 

頸椎;頚椎症性脊髄症/頚椎症性神経根症 ;頸椎前方除圧固定術

Case; pyogenic spondylitis, cervical spinal cord injury
   72y, M
 1 Cervical laminectomy and drainage
 2 Halo vest system fixation
 3 cervical posterior fixation with C2-6/7 pedicle screw
 4 C2-6 ACCF

 

 

 

頸部脊柱管狭窄症;

下記の適応の基準、症状等を考慮し、前方法、後方法の術式を検討しております。

適応;頚椎症性脊髄症(圧迫性脊髄症)

  1 頸椎矢状面alignment ;後弯変形
     (後弯角10~15°(miyamoto K,et al proceeding of the 24th Japanee-Korean Orthopaedic Synposium))
  2 K-lineマイナス (Fujiyoshi T, et al Spine(Phila Pa 1976) 2008;33:E990-3.) 
  3 CGH-C7 SVA≧40mm (Sakai K, et al.Eur Spine J. 2017 Jan;26(1):104-112)
    高位限界 ; 上限 C2 下限 C7

** 2019 日本脊椎・脊髄神経手術手技学会Best Presentation賞(優秀賞) をいただいた術後合併症を軽減し、正常構造を可能な限り温存する術式をおこなっております。

 

「鋭的剥離による頸椎前方固定術アプローチ方法」

 

前方法;

 

 

 

後方法;多裂筋温存頸椎椎弓形成術

なるべく正常構造の温存に努めて、顕微鏡下での手術をおこなっております。

 

 

胸腰椎移行部;骨粗鬆性圧迫骨折、後弯変形、脊椎外傷

上記の胸腰椎移行部の各アプローチ方法を症例に合わせて選択して、次の治療をおこなっております。
骨粗鬆性圧迫骨折の中には、偽関節化し、後弯変形(背骨が曲がり、しかも不安定な状態)し、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。したがって、前方、後方の両方に支柱をつくって歩行を維持できるようにいたします。

このようなになると、歩行が難しく、また、腰背部痛に悩まされます。

このように、前方後方から支えを作成することで、脊柱から、良い姿勢を維持します。

 

経皮的椎体形成術(BKP);

骨粗鬆性椎体骨折で、比較的骨折の損傷が軽度である場合には、痛みを緩和し、離床を促すために、亜急性期に骨折した脊椎椎体骨を内部から補強します。

 

 

 

 

 

腰椎;椎体破裂骨折

まったく動けないほどの重篤な腰椎の骨折に対して、前方後方から支えを作成することで、離床、歩行訓練をおこなえるようにいたします(下記の症例では、ベッド上臥床から、杖歩行まで回復できました)。

 

 

 

腰椎椎間板ヘルニア;

顕微鏡下にて手術をおこなっております。
腰椎椎間板ヘルニア(外側アプローチを除く)に対して棘突起縦割片側侵入法(spinous process hemi-splitting method; SPHS)を実施しております。

 

利点:棘突起から傍脊柱筋を剥離することによる術後疼痛の悪化や筋委縮の拡大が報告されており、近年では筋肉に対して、より低侵襲な手術手技として、棘突起縦割式による脊椎手術が報告されています。
(spinal surgery 24(1) 108-110,2010 )

 

 

腰椎分離(すべり)症腰椎変性すべり症、腰部脊柱管狭窄症;

従来からの治療法(後方からの除圧術、除圧固定術(PLIF))に加えて、積極的に新規の低侵襲な治療法であるOLIF(腰椎前側方進入椎体間固定術)を実施しております。

 

Case ; 前方後方同時固定術L3/4/5 OLIF,PPS
    術前腰JOA score20/19 / 術後腰JOA score 25/29(post 4weeks)
    VAS 歩行時 85mm → 0mm
    職場復帰されております。

 

 

 

 

 

その他;ニューロモデュレーション治療

脊髄刺激療法(SCS) ;脊髄手術後疼痛症候群(Failed back surgery syndrome)や虚血性疼痛などの神経障害疼痛に対する比較的新しい治療法です。

 

脊髄刺激療法の適応:ガイドライン

脊髄刺激療法は、腰椎術後の下肢痛や虚血性疼痛などの神経障害性疼痛に効果が高く、リウマチやがん性疼痛などの侵害受容性疼痛や心因性疼痛には効果があまり期待できないと報告されています。

Good Indication

頸椎/腰椎術後における上下肢の神経障害性疼痛
複合性局所疼痛症候群(CRPS)
抹消神経障害性疼痛
抹消血管障害による疼痛
難治性の狭心症
外傷/放射線照射後の腕神経叢損傷

Intermediate Indication

断端術後疼痛(断端痛>幻視痛)
脊椎術後の体幹部痛
開胸術後/帯状疱疹後による肋間神経痛
脊髄損傷後疼痛

 

Poor Indication

脊髄由来でない中枢痛
脊髄後索機能が消失した脊髄損傷
会陰部痛及び肛門痛

Unresponsive Indication

完全脊髄断裂
非虚血性侵害受容性疼痛
神経根引き抜き損傷

 

 

胸椎移行部の脊髄背側面に下肢疼痛をカバーするように電極を挿入し、持続的に電気刺激を加えることで、疼痛の緩和をおこないます。

 

仙骨刺激療法(SNM);排泄に関係する神経に持続的に電気刺激を与え、過活動膀胱や便失禁の症状の改善を図る治療法です(当院当科では、現在、準備中です)。

骨粗鬆症性椎体骨折(圧迫骨折)について

 1. 骨粗鬆症の有病率について

50歳以上の女性24%、男性3.2% と報告され、さらに、椎体圧迫骨折の有病率は、60代女性14%, 男性22%、70代女性45%、男性18%と高く、現在の高齢社会日本の国民病ともいえる状況です。

(参照;J Clin Epidemiol. 1991;44(10):1007-14. The incidence of thoracic vertebral fractures in a Japanese population, Hiroshima and Nagasaki, 1958-86.Fujiwara S, Mizuno S, Ochi et al. )

 

 2. 脊椎圧迫骨折について

転倒・転落などでおきますが、骨が骨粗鬆症でもろくなっている場合には知らないうちに脊椎椎体骨(せぼね)が潰れてくる場合もあります。
圧迫骨折は、潰れた状態で骨がかたまれば(骨癒合すれば)数ヶ月で、痛みは 減ってきますが、背中が丸くなる原因になります(後弯変形)。 また、潰れた脊椎椎体骨(せぼね)が固まらない(骨癒合しない;偽関節化)場合には痛みが残存するだけではなく、背中が丸くなります(後弯変形)。

脊椎(せぼね)の変形(成人脊柱変形、変性側弯症)や、偽関節化がひどくなると、脊髄神経へも影響がおよび下肢の運動麻痺や、歩行困難、慢性腰痛症を生じる場合があります。

*脊椎椎体骨(せぼね)が骨折すると、疼痛だけではなく、変形(背中が丸く変形、後弯変形)を起こします。

 3. BKP(経皮的椎体形成術)について

Balloon Kyphoplasty (BKP : バルーン カイフォプラスティ)は、2011 年1月 より保険適用となった比較的新しい治療法です。つぶれた背骨を風船でふくらませてセメントで 固める治療です。

方法

全身麻酔下で、つぶれた脊椎椎体骨(せぼね)へ2か所の小さな皮膚切開を行い、下記の図のように、バルーン(風船)を用いて、つぶれた脊椎椎体骨(せぼね)を形成する手術です。

効果

 ・ 早期の除痛効果
 ・ 潰れた骨を可能なかぎり戻すことにより背中が丸くなるのを矯正する効果
   (せぼねの変形;後弯変形を抑制する)
 ・早期のリハビリテーション加療へ移行する(早期離床効果)

が期待できます。

全身麻酔下、うつぶせ(腹臥位)となり、骨折した脊椎椎体骨内部へ、2か所の1cm弱の小さな皮膚切開部位から、専用の針を挿入します。

脊椎椎体内部で、風船を徐々に膨らませて、骨折でつぶれた骨を持つあげ、周囲にかためて、できるだけ、よい形をつくります。

 

風船を抜いて、脊椎椎体内にできた空間を満たすように、専用の医療用骨セメントを慎重に充填します。

手術自体は、約1時間程度で終わります。術後は早期から離床を開始することとなります。

 

 

 4. 適応について

適応は原発性骨粗鬆症による1椎体の急性期脊椎圧迫骨折で、十分な保存加療によっても疼痛が改善されない患者さんが対象となります。
高齢者では、安静臥床(保存的加療)により、一日1.5%といわれる全身の筋力低下を招き、運動能力および認識機能や思考能力の低下をもたらします。
なるべく早くに離床して、リハビリテーション加療(若弘会法人には、わかくさ竜間リハビリテーション病院があり、密に連携しております)を受けるためにも、早期に、除痛(痛みを緩和)を行い、脊椎椎体骨の変形を抑える効果のあるBalloon Kyphoplasty (BKP : バルーン カイフォプラスティ)手術を若草第一病院脊椎脊髄神経外科では、検討いたします。

 

 5. 病診連携の重要さ
(地域の医療機関(開業医の先生、かかりつけ医 と若草第一病院 脊椎脊髄神経外科との連携)

当院は、DEXA(骨密度測定検査)法が実施可能です。ぜひ、骨粗鬆症の治療に効果的にご利用ください。また、圧迫骨折後のご相談、脊柱変形による歩行困難となった患者さまのご相談もお寄せください。

 

 6. 実際の症例のご紹介

圧迫骨折

(第1腰椎)直後

BKP手術後 BKP手術後3か月

臨床・研究連携施設

  ● 医療法人恒進會泉北陣内病院 脳脊髄外科 岩月幸一 総院長

   (元大阪大学医学部附属病院准教授)
              https://koushinkaihp.jp/about/

 

  ● 河内総合病院 リハビリテーション部

脊椎脊髄神経外科 研究業績

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